長拳 審判長減点
― 大会会場で「どこで減点されたのか?」を今すぐ知りたい方向け ―
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長拳の演技が終わったあと、審判長が立ち上がってカードを見せ、選手に対して最後に何か説明していることがあります。
でも試合に不慣れな幼い選手や、観客席の親御さんには何のことだかさっぱりわからない。
そして貼り出された採点表を見ると、「套路」「他」の欄に数字が書かれている人がいたり、何も書かれていない人がいたりします。
この違いが一体何なのか、大会のたびに気になっていながらも、そのままになっている方へ。
それは 審判長減点(套路減点) といって、“決められた通りに演技ができていたか” をチェックする特別な減点です。
A組(動作の質)やB組(演技レベル)とは別枠で、最終判断は審判長が行い、減点がある場合は最終得点の発表前に審判長が告知します。
長拳で実際に起こりやすい審判長減点を、簡単に知っておきましょう

審判長減点(套路減点)は、動きがあらかじめ決められた套路=規定套路に対して行われます。
長拳には、
- カンフー体操
- 入門長拳
- 初級長拳
- A套路・B套路
など、全国共通で動作が決められている「規定套路」が多く存在します。
これらはすべて 動作の数・歩数・方向などが細かく決められているため、そこから外れると審判長減点の対象になります。
一方で、伝統套路にも定型のものはありますが、種類が非常に多く、動作構成も千差万別で統一基準がないため、審判長減点の対象には基本的になりません。
つまり、 - 自選套路
- 伝統套路(動きが無数にあるもの)
には、原則として套路減点は適用されません。
(※ただし、自選套路の“難度前後”だけは例外で後述します)
套路が分からない方はこちらの記事をご覧ください→套路とは
長拳の規定套路で外れると減点されるポイント

長拳の規定套路は、動作の数・歩数・方向などが細かく決められているため、そこから外れると次のように減点されます。
- 動作が多い/少ない/改変(1つにつき0.2点)
- 繰り返し回数の過不足(1回につき0.1点)
- 歩数が多い/少ない(1回につき0.1点)
- 平衡動作以外で、静止状態が長い(2秒以上で0.1点)
- 方向ミス(90度以上で0.1点)
- 時間の過不足
長拳採点表にある審判長減点
実際に掲示された採点表を見てみましょう。
右の方に「套路」「他」「時間」(大会によっては「時間」はなし)と書かれていると思います。
これが審判長減点です。
● 「套路」⇒動作数・歩数・方向など、型そのものの規定違反のこと
● 「他」 ⇒静止など、型以外の細かい違反のこと
● 「時間」⇒決められた時間をオーバーしたり、時間に満たない違反
※要綱に大会運営上の便宜として時間規定が書かれているだけで、採点がなされないこともあります。
これらはどれも最終的に審判長が判断して減点します。
また、この他に演技が途中で止まってしまった時など、審判長が状況を見て「やり直し」を認めることがあります。この場合審判長がやり直しとして減点を告知しますが、この規定もどの大会でも同じとは限らず、扱いは大会ごとに少しずつ違います。
自選の難度種目では、素晴らしい難度の成功に応じて加点されることもありますし、稀に審判員がうまく判定を出来なかったと審判長が判断すれば、総審判長にかけあって点を調整したりすることもあります。
大会やルールによって細かい決まりが変わりますが、いずれの場合も審判長が采配を振る力を持ちます。
採点表に書かれている「減点コード」とは?

大会によっては、採点表に0.1、70などの減点コードが書かれていることがあります。
また、演技レベル2.8などと書かれていたりします。
これはそれぞれの役を担う審判が「どの項目で減点したのか」「全体としてのレベルはどう判定したか」を示すための記号ですが、初めて見るととても分かりにくいものです。
減点コード等の意味を知りたい方は、ざっくりとした判定チェッカーがありますので、こちらの記事をご覧ください →武術太極拳採点表の見方ー減点理由がすぐわかるコード診断・長拳編
審判長減点まとめ
審判長減点というのは、規定套路が本来の構成から外れたときに行われる特別な減点で、A組やB組とはまったく別枠で扱われます。どの項目で減点するかの最終判断は審判長が行い、減点がある場合は得点発表の前に審判長から直接告知されます。
採点表にある「套路」「他」「時間」の欄に書かれた数字の合計が、この審判長減点にあたります。
審判長減点とは、簡単に言えば「型をテキスト通りに実施できなかったときに引かれる点数」 ということです。
補足
自選套路には、規定套路のような「方向」や「歩数」等々の減点はありません。
ただし、難度を含む自選套路だけは、難度の前後に限って審判長のチェックが入ることがあります。難度の前に攻防の意味がない動作が入ったり、難度と難度の間に必要な技術動作が足りない場合などです。
難度動作は、本来の流れの中でそのまま実施できること自体が価値とされるため、余計な助走やつなぎを入れずに“難度そのものの難しさを保つ”ことが求められています。
当記事は武術套路競技規則2024年版を元に、武术套路竞赛规则和裁判法(2024试行版)の内容を加味しつつ、筆者の審判員時代の実体験を交えながら書かれたものです。特定の審判法に厳密にそっているものではなく、競技に関わる子供たち、親御さんが採点表を少しずつ理解できるような内容を目指しています。競技の理解を深めるための読み物としてご利用いただければ幸いです。


