ぐるっと回って違う世界
先生は、本当は淡い青が好きなので、赤い服をよく着ます。
論理が破綻しているようですが、”人が生きる”とは得てしてそのようなものです。
そして、それは待ち構えているのです。
ケーッ!ケーッ!ばたたたたっ!
ぐわっ!
天下取ったりの甲高い声
俺様が一番じゃあ!! の羽ばたき
やるかワレ!? の眼光
そう、
キジが あらわれた!

玄関前の薪割り台に横向きに立ち、出会い頭に「勝負するか」の大見栄をきっています。
胸を最大に張って、表情のない片目でこっちをロックオンしているではありませんか…。
キジは赤い戦闘服の勇者の前に立ちはだかっている。
勇者は身を守っている。
ぼそは立ちすくんでいる。
コマンド?
▶︎たたかう
じゅもん
にげる
どうぐ

「な、鍋にしてやるっ!」
先生はぼそを置き去りにして、自分だけ素早く家の中に飛び込みます。
コマンド?
▶︎ 雉なべ


まあそれにしても、あのわずか5秒ほどの所作でキジが放つ威光は、見習うべきものがありますね。
自然のままの姿でありながら、一瞬でその場の空気を支配する、まるで武術における「精・気・神」そのものです。
私たちは無味乾燥な基本を延々と繰り返し、汗や涙を流しながら武術を学んでも、最終的にはあのキジのように、もともと自分が持っていた力を引き出すだけなのかもしれません。
でも、ぐるっと回って元に戻る時、そこにはきっと計り知れない経験の蓄積がありますよ。
若い皆さんにはこのリアルな冒険を、是非コンプリートしてもらいたいと思います。
淡々とした日常の中に大きな冒険の扉が開いている。
旅をつづけた者だけが次元を超える。
この世界とは、きっと得てしてそういうものなのです。

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ぼそについてはこちら→フォーサイクルエンジンだそうです

