強くたたけ

まきちゃんは小田原出身。

秦野と平塚に二つの鮮魚店をかまえる、腕利きの店主です。
旨い鮭を見分ける目は相州一(と、先生は思っています)。

美味しそうな鮭の切り身


さらに数字にめっぽう強く、どんな計算も頭の中で瞬時にこなしてしまいます。

過去や未来の暦も、時間も料金も、ぜんぶ頭に入っているというから驚き。
とにかく「数」に関することなら、まきちゃんに聞けば絶対にまちがいなし。

数字のイラスト

でも、まきちゃんのすごいところは、それだけじゃありません。
もう一つ、商売に欠かせない“とっておきの技”があるのです。

それは、
遠くの奥さんに「今日サンマが入りましたよー!」と知らせるための、拍手の音です。

もし近くで聞いたら、耳をつんざくほどの大爆音。
その音で、通りのむこうのお客さんがピクッと振り向くほど強烈。

魚屋のおじいさん
まきちゃんのイメージ

そんなわけで先生は、かつてまきちゃんの元で拍手の修行をしました。

修行の成果

五年におよぶ修行の末に、先生もそれなりに師匠に近い音が出せるようになりました。
先生も船乗りの末裔ですから、素質があったのかもしれません。

結論から言って、商店街の喧噪に負けずに遠くのサザエさんを呼ぶには、こう叩きます。

こう叩け

拍手する手のイラスト

力まかせではなく、タイミングと手の形で作る空気の空間が大事。
上の図で星が示す、手のひらと指の間に、小さな空気の玉をつくるようなイメージです。

こうして拍手を極めた側から言わせてもらうと、みんなの拍脚の音は弱すぎます。
叩き方は何度も教えているのに、なぜ一向に強い音にならないんでしょう?

それは、もはや気迫の問題じゃないでしょうか?

みんなは本当に、今朝仕入れたサンマを磯野家の食卓に届けたいと思っていますか?
本気で「らっしゃい!!らっしゃい!!!」とアピールできていますか?

小田原魚港の美しい夜明け
小田原よいとこ一度はおいで

目標を定めた特訓が大事なのだ

何度も何度も叩いてごらんなさい。
パチンじゃだめです。

パッチィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…ン!
と、反響が返ってくる程に強くなければなりません。

この”ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ…ン”が大事です。
いつもみんなに言う「ジーシャン」の、「シャン」の部分がこれです。

目指すのは、商店街なら魚屋でなく肉屋へ入ろうとしているサザエさんを振り向かせ、
体育館なら居眠りしている隣のコートの太極拳審判の目を覚まさせ、
(大丈夫、先生日本で”しがらみ”なんてありゃしないもの)
天井から振動が返って来る音です。

できないのなら、できるまで叩いてみるのです。
右足ができるのに左足が弱いなら、その原因を必死に探すのです。
今のままで良しとしては絶対にいけません。

”魚はおいらが全部売りさばいて見せる”
そんな天下一の気概を、今こそ胸に刻みなさい。


手でも脚でも全力でたたけッ!

その音が会場の空気を切り裂いて、きっと流れを変えるから。

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拍脚の動作を知りたい方は、「刀術・デモンストレーション」記事内の動画をご覧ください。0:07秒あたりで、てっち兄さんが右足を叩いている動作が、中国武術の拍脚(パイジャオ)になります。
体育館からの反響音に包まれているのが分かると思います。

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