自選套路の作り方

長拳選手が競技会で、自選套路を演じている写真

武術太極拳をしていると、なにかと型をアレンジしなければならない
ことがありますよね。


たとえば今度のフェスティバルは5分の持ち時間で広い体育館でやることになった、
あるいは町内のイベントでほんの小さい舞台で10人でやらなければならないなど。
いつも練習している套路はそのまま使えないし、
ただ規定の型の向きを変えるだけというものちょっと味気ないかも…。

またこのごろは競技会で自選套路の枠がふえました。
自選套路、つまり自分だけのオリジナル套路がなければ大会にも出られない。

そんなことがないように、自選套路の作り方を整理してみましたので
ご参考になさってください。


(以下は簡易な紹介になります。この記事の詳細が気になる方はpdf資料「競技会に向けた、長拳自選套路の編成法」もご覧ください。)

套路の作り方

  • ルールの確認
  • 材料集め
  • 輪郭をえがく
  • 見せ場を決める
  • 調整
  • ルールの再確認
  • 改善

1 ルールの確認

まず、どのような決まりの中で演技しなければならないのか確認します。

会場の広さ、時間、床をたたいていいのか、あるいは競技会ならどんな動作を
いくつ組み込まなければいけないのか、などです。
競技会の決まりはルールに載っていますが、大会ごとに違いや時代による移り変わりがあるので
じゅうぶん気をつけましょう。

2 套路の材料集め

好きな動作を集めます。ふだんやっているもの、映画で見たもの、自由にあつめましょう。
今は動画がべんりですね。あれこれ見たりして、ヒントを得ましょう。
そして集めたものは、もしそのままつかえないようなら太極拳なら太極拳へ、
長拳なら長拳へ改造をします。
改造はいつも学んでいるその拳種の要求にそっておこないます。

3 套路ぜんたいの輪郭を描く

套路は起勢からはじまって、収勢でおわります。途中コートを行ったり来たりもします。
そういうだいたいの流れを意識しながら、およその輪郭を考えます。

たとえばりんごの絵を描くとしたら、多くのひとはまず輪郭から書いて
それから細かい芯をかいて、さいごに色を塗りますね。

套路も一から作りこむのでなく、まず大まかに流れを考えてみます。

4 見せ場を決める

自分が一番見せたい、その套路のポイントになりそうな動作はどれか考えます。
それを変なところにはめこむことがないよう、いちばん効果的なところに
先に配置しましょう。

5 套路全体の調整

スムーズにつながるか、時間をかけて調整をくりかえします。
気に入った素材も、つながりが悪ければ思いきって捨てる勇気も必要です。
また内容がスカスカだと思ったら足し、逆に体力的にきつく感じれば無理なく
動作を減らしましょう。

6 ルールの再確認

一套を作り上げるのはかなり労力がいることです。
あれこれやるうちに、ルールからずれてしまったところがないか確認します。

7 改善

一度できた自選套路も、練習をかさねながらあるいは大会に出ながら、
何度も手直しをしていく必要があります。そして時間が経てば
ふるくて新しい、じぶんのものでありながらみんなの財産にもなる、
そんな素敵な自選套路が育っていきますよ。

執筆者 石川 まな (カンフーチーム 点睛会 代表)

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