ああ夏の日
毎日こう暑いと、なんといってもスイカが食べたくなります。
皆さんのおうちでは、スイカはよく食べますか?
夏のスイカは体にいいですから、たくさん食べた方がいいですよ。

先生は、中国でとても印象深かったものの一つに、楕円形のスイカがあります。
夏になると、山のようにスイカを積んだ、大型トラックが来て、砂埃舞う路上で売り始めるのです。
そのひとつひとつが、実に大きくて楕円形をしていました。
スイカ売りのおいちゃんに「ティエン ブ ティエン?」と聞くと、日に焼けて真っ黒な顔で、おいちゃんは「ティエン!!」と返します。
「甘いか?」
「甘いぞ!!」というわけです。
そして、力強い手でスイカを丸ごと一個持ち上げると、なたのようなものでバカッと割ってくれるのです。

「チャンイーチャン!」(食ってみろ)と言いながら、素手で差し出される、とうてい試食とは思えないほどの大きさのスイカ。
日本のスーパーの小分けパックなら、すでに3パック位はありそうな量。
これ食べれば、もう買わなくていいんじゃ…、と思ったのは最初だけ。
スイカ売りのおっちゃんと、一緒にそれをかじりながら、「ああ、甘いね」「だろ」とか、「日本のスイカは丸いんだぞ」「それじゃ売りにくいな」とか言いながら、最後は「一個くれ」となりました。

あの、売る方も買う方も、一緒にわっとやる感じ。
買って帰るでっかいスイカは冷えてなんかいないけど、そこに居合わせたみんなでわっーと食べてしまう。
家族がいようがいまいが関係なく、
何かを持て余すことなどありえずに、いつも誰かがそこにいた。
売り手と買い手、買って帰る側と食べる側、人と人の線引きが、なーんにもはっきりしていないお国柄。
あの、分けあう感じ。
一緒に生きている感じ。
雑で、そして人間らしい夏の風景がそこにありました。
スイカが笑う
先生はいまスーパーで、スイカを大抵は小分けパックでしか買いません。
よく冷えていて、味はあの時と同じように甘いけど、なんだかちょっと物足りない。
大胆にたたき割って、「食ってみろ」と笑うおいちゃんがいないせいかな?
一瞬で平らげる仲間がいないせいかな?
“そーんなの関係あるか”
夏なんだぞ。丸ごと買って豪快に割りゃあいいんだ。
そう言って、今年もスイカが笑っています。
